Vol.4 夏休み② 私は映画を見たり小説を読んでいいのだろうか
Vol.4 夏休み② 私は映画を見たり小説を読んでいいのだろうか
不安と時間を埋めるために、だれかと会いたいと思う。でもいざ電話しようとするとだれにも会いたくないような気がする。話したいと思う。でも何も話せないと思う。一人でいよう。そういえば西荻に来てからほぼAmazonを使っていない。できるだけ地元で、現金で買い物している。それでもベルギー時代から度々お世話になっている映画のレンタルサービスは例外で。なんの脈絡もないですが、『LOVERS』(チャン・ツィイーがきれいで強い)、『ティファニーで朝食を』(なぜか見ていなかったことに突然気が付き。享楽的な時代がある意味新鮮。彼女の英語を聞くのが楽しい作品)、『ブルー・バレンタイン』(単にライアン・ゴズリングが好き)を連続で見た。
翌日は一度くらいは外にでなくちゃと思って、横浜の母に電話した。母は思いあってワクチンを打っていないので、選挙後は実家に帰るのを控えていた。短い時間、外でごはんをすることにした。母とならあれこれ気にせず話せる。私たちのお気に入りのイタリアンで。
結果的には他愛のない話をあれこれ。横浜までの往復3時間の電車で、読む本は今話題の『同志少女よ、敵を撃て』。西荻の今野書店で購入。まだ4分の1くらいしか読んでいないけど、独ソ戦が激化する1942年のモスクワ近郊の村からストリーは始まる。戦争の究極的な暴力性と非人間性に触れ、今まさに戦争が怒っている現実に戦慄する。それでも一人の少女の目線と世界が凌駕するからどんどん小説に引き込まれる。
私は映画や小説を楽しんでいいていいのだろうか、文化にふれていいのだろうか? 事実、昨日は台風の影響で大雨。午後4時近くには杉並区に大雨警報が出て、避難所も2つ設置された。西荻駅から家に帰る道ですでに下水溝の回りに吸収しきれない雨水がたまりはじめている光景をこれだけ真剣に恐ろしさを持って見たことはなかった。午後7時ごろ大雨の中を帰宅した私は、すぐにテレビとラジオをつけ、メールをチェック。善福寺川がいっぱいになる様子を想像し恐怖する。川のそばに多くの人が密集して住んでいるのだ。善福寺川や神田川に設置されているカメラは区のサイトからも見ることができる。幸い、10時ごろか雨足は弱まり、避難所からも被災者がいないこと、じきに避難所も閉鎖されるメール連絡が入った。防災の訓練も被災の経験も危機管理の専門性もない私が人の命を守れるのか。当然のことながら、私は専門の職員とともに働かなくてはいけない。