2024年1月8日(月・祝)、杉並区では「二十歳のつどい」を開催しました。杉並公会堂にて、3回に分けて行った式典には、区内の多くの新成人の皆さんが参加くださいました。
以下は、岸本聡子が新成人の皆さんに向け、当日スピーチした内容です。
皆さん、こんにちは。杉並区長の岸本聡子です。まずは、本日お集まりの皆さんが20歳という人生の大きな節目を迎えられたことを、心よりお祝い申し上げます。皆さんの晴れ姿と、それに負けない晴々とした笑顔が、この位置からでも輝いて見えます。
さて、就任以来、「対話から始まるみんなの杉並」をキーワードに、できるだけ多くの区民の意見や提案に直接触れられる機会を作ってきました。気候変動対策や子どもの権利、防災や杉並のみどりを守る、といったさまざまなテーマで区民との対話の場を作ってきましたが、そのような場に10代、20代の方が来てくれると私はとてもうれしくワクワクします。皆さんを主体的な大人として尊重し、主権者として対話や議論と共にしていきたいと思っています。
世界各地で起こっている紛争や戦争が止まりません。戦争をしてはいけないと誓う国際社会の一員として、平和であることがすべての命の土台だと考えない日はありません。そして、元日には能登半島地震が起こりました。震災で亡くなられた方に哀悼の意を表し、今なおきびしい状況におられる被災された方々にお見舞いを申し上げます。
不透明な時代だからこそ、新しい社会を作っていくエネルギーの源となるのは、ほかならぬ皆さんです。皆さん一人ひとりがこのまちの「主権者」であること、そして、皆さんには変化を起こす大きな力があることを、どうぞ信じてください。そんな力を表現する、私が尊敬する20代前半の二人の女性を紹介したいと思います。
一人目は岩本菜々さん。大学院生で労働、貧困問題に取り組むNPOで活動しています。若者の3人に一人が300万円の奨学金を背負い、将来の希望や設計ができない社会にモノ申し「奨学金帳消し」プロジェクトなどを実践しています。昨年、少子化対策などをテーマにこども家庭省の大臣らとテレビ番組で議論し、彼女の主張がSNSで1000万回再生される話題となりました。「自分が声を上げて状況を変えていく手段があるってことを伝えたい」これが彼女のメッセージです。
もう一人は若い世代の政治参加を促進するNO YOUTH NO JAPANを立ち上げた能條桃子さんです。全国に約3万人の地方議員がいる中、20〜30代の女性市区議員は300人、つまり1%にも満たないそうです。そこで彼女は仲間たちと「政治分野のジェンダーギャップを、わたしたちの世代で解消しよう」とメッセージを掲げ、地方選挙で20〜30代の女性立候補者を支援しています。彼女はなぜ若者や女性の政治参画が必要なのかを聞かれると「今の日本社会はマジョリティーが、マジョリティーのために設計した社会だから」と答えました。
彼女たちの聡明さと行動力にとくに同世代の人が共感や勇気を得て、その声が広がっていることに私は大きな希望を感じます。20代の皆さんの声や行動は社会に前向きな変化や力を与えることができます。
最後となりますが、今日の節目の日がお友達やご家族とともに楽しい日になること、これからの皆さんが元気で活躍されることを祈念し、私からのお祝いのことばといたします。本日は誠におめでとうございます。