杉並区議会で補正予算が可決!
学校給食費の無償化へ
杉並区議会で補正予算が可決!
学校給食費の無償化へ
ー岸本聡子からの議会中間報告ー
◆学校給食費の無償化が実現!
令和5年第三回杉並区議会定例会も中盤を迎えました。9月26日、中間議決で補正予算85億2200万円が賛成28・反対17で可決されました。この中には区立小中学校の給食費の無償化のための9億4449万円が含まれます。私の公約の一つである学校給食費の無償化を、10月から杉並区で始めることができます。
前日9月25日の総務財政委員会は、朝10時から夜遅くまで長い議論となりました。国立、都立、私立などに通う子どもたちの給食費を支援できないこと、給食費の公会計化に数年を要することなど、様々なご指摘もいただきましたが、子育て世代の負担を軽減し、地域全体で子どもを育てていくために、まず、区立学校を設置する基礎自治体としてできることをする、というのが区の考えです。
このほか、補正予算には原油・物価高騰の影響を受ける公衆浴場、介護保険事業者、保育所の光熱費等の支援などが含まれます。
◆対話を通じたまちづくり
青梅街道を越えて中杉通りを延伸する補助133号線周辺地域では、地域の人々の声をお聞きする<さとことブレスト>が始まり、令和6年度からは西荻、高円寺地域と合わせて3地域で(仮称)デザイン会議が始まります。(仮称)デザイン会議は1年にわたって、様々な角度から道路とまちづくりを考え、合意形成の道を探る新たな取り組みです。
気候危機対策の推進として再生可能エネルギーの導入助成、気候区民会議の開催(第一回は来年3月予定)の経費も含まれています。
学校などの改築に必要な施設整備基金50億、財政調整基積立金5.5億を積んだうえで、そのほか区民生活と区民福祉を守るきめ細やかな補正予算が議会の審議の上で可決されたことをうれしく思います。
あわせて、総務財政委員会で2つの検証結果を報告しています。一つは指定管理制度の検証報告で2つ目は施設再編整備の検証報告書です。今後、指定管理者制度を運用する際には、行政、事業者、地域住民がそれぞれの力を出し合って公共施設を運営する方針を打ち出し「(仮)杉並区施設運営パートナーズ制度」というような愛称を使いたいと思っています。施設再編は地域の公共施設の課題を地域住民と行政が共有し、計画を作ることで持続可能な公共施設のミライの形を作っていきます。これらは今後予定している杉並区総合計画等の改定に反映されます。総合計画等の改定に係る地域説明会は10月から7地域で予定しておりますので、ぜひ皆さんの声を区に届けてください。※10/1の広報すぎなみでスケジュールなど発信します。
これまで子育て世帯から寄せられていた切実な声に対する大切な変化もお知らせします。多子世帯の両親がそろって育休をとる場合、29日以降は保育園を退園しなければならないルールが変わりました。これからは育休中でもお子さんが2歳になるまで保育園に通うことができます。就業する親を支える保育園ですが、就学も同様にお仕事とみなし、保育要件に加わりました。※ 詳しくは10/1に発信される令和6年度保育施設利用のご案内に記載します。
最後に本会議の一般質問から、阿佐ヶ谷北東のまちづくりの私の答弁を2つ紹介します。
【質問】<今後の進め方>区の職員にとっては、年月をかけて取り組んできたこの計画を今さら覆せないというのは当然の感覚かとも思われる。しかしながら地域の人たちは十分に聞かされてこなかったし、納得もしていない、さらに、区民の生命と財産を毀損する安全性の問題も孕んでいるということが明らかなこの状況を区長はどのように捉えているのか。
【区長の答弁】
8月31日に開催した「阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりを振り返る会」においては、参加された区民の方から、現計画に対する内容やプロセスについて疑問や問題点を指摘するご意見が数多くありました。そうしたご意見が絶えないのは、計画決定時に地域を巻き込んでの十分な議論がされていなかったこと、またこの間、事業内容やプロセスに関する正確な情報が十分に共有されてこなかったことが原因であると考えております。
一方、地権者・病院・区の三者間で締結した協定に基づき、既に区画整理や病院建設などの事業は進行しております。また、移転改築によって、地上に校庭を整備することができる、仮設校舎で児童が過ごさなくて済む、後背地における震災時の防災性や地域の安全性の向上などの利点も多くあります。
こうした状況も踏まえ、この事業を進めていく前提として、事業の関係者に理解を求め、これまでのプロセスと今後の取組に関する情報について可能な限り明らかにしていきます。また、事業を止めた場合に生じるリスクや、多くの方が心配している移転先における杉一小の水害対策や地域の防災対策、病院跡地の土壌が汚染されていた場合の対応について、区から丁寧に説明していき、杉一小跡地については区民に開かれた議論の中で検討していきます。こうした区民との対話のなかで意見を吸い上げながら、事業に関する理解や納得が得られるよう取り組んでいきたいと思っています。
【質問要旨】
○世田谷区の幹部が住民参加のまちづくりについて書かれた「人をつなぐ街を創る」を紹介する。区役所はこの方と連絡をとっていると聞いたが、区長は本書をご存じか。また、感想を伺う。
○岸本区長は「サイレント・マジョリティ」論法を支持するか。区政に反対するのは一部の政治的な住民、少数であれば排除していいという考えを支持するか。また、「振り返る会」における住民の発言についての感想を求める。
【区長の答弁】
議員ご指摘の書籍は私も拝読しました。世田谷区のまちづくりについて職員とともに勉強に行った際、著者の小柴氏とお会いしました。世田谷区が長年にわたって、困難な道路計画やひとつひとつの開発の課題に取り組む際の、まちづくりへの住民参加の具体的な手法、あるいは住民主体のまちづくりへの行政参加の経験など多くの学びを得ました。それは、誰も置き去りにしない合意形成であり、行政からの徹底した情報公開と丁寧な熟議に努めることによって成り立つものです。
また、住民参加の歴史の中で、行政は物言わぬ支持者をサイレント・マジョリティと称し、政治や行政が反対者を押し切って事業を進める際に利用してきたと氏は論じています。ことまちづくりや開発においては、必ず反対者が存在し、それが少数であってもその生活やアイデンティティーに寄り添い、行政は代替案を出しうる情報を提供し、他者との対話を重ねる中で計画が修正され、納得を得ることができるとの経験を書かれています。かつての町会や商店会の代表者に事前にお伺いをたててから説明会を開くといった形から、1990年代に始まった参加型のまちづくりは個人の意思で参加できるワークショップという手法を生み出し成熟期を迎えています。それは杉並区でも多々行われており、協働と参画の公園や学校づくりの経験をより広くまちづくりに活かしていけると考えています。少数者や反対者との議論を回避し孤立化させた結果、計画に反対する裁判が起き事業の長期化のみならず、その後に大きなしこりを残す例は列挙にいとまがありません。こういった経験から生まれてきたのが参加型と協働のまちづくりで、一つの計画をめぐる多様な人々の合意形成がその後のコミュニティー形成の力、小柴氏の言葉を借りればソーシャル・キャピタルを創っていくと思います。それはまさに、私が想い描く「対話を大切にする区政」の在り方です。
振り返る会における区民からの発言については、現計画に対する防災上の不安や計画決定過程の問題点を指摘するご意見が数多くあり、そうしたご意見が絶えないのは、計画の案が公表されてから決定までの期間が3か月と短く、地域を巻き込んでの十分な周知、共有、議論がされていなかったこと、また決定から約6年に及ぶこの間、正確かつ十分な情報が公開、共有されてこなかったことが原因であると考えております。そのため、こうした状況も踏まえ、振り返る会当日にも申し上げましたが、早急に足りない情報を提供し区民の理解や納得が得られるよう取り組んでまいりたいと思っています。