私にとっては2回目の予算編成で、公約の実現に向けて、これまでの議会や庁内での議論を踏まえ、さまざまなことが前進しています。自分が特に力をいれてきたこと、予算の編成方針の2つ目のキーワードは「ケアする人をケアする」です。
すべての人は生まれる前からケアされ、人生を通じてケアをしてそしてまたケアされて人生を閉じます。ケアから無関係の人は誰もいません。二〇二〇年に始まったコロナ禍では、この〈ケア〉が注目されました。ロックダウンや厳しい行動制限が課されるなか、医療、保健、介護、保育、教育、衛生などを提供する仕事に従事するエッセンシャル・ワーカーたちは、人々の命を守り、命をつなぐために働き続けましたが、こうしたエッセンシャル・ワークのすべてが、人々の命に関わる〈ケア〉の分野だからです。従来多くが家庭の中で行われていた保育や介護が保育園や介護保険の制度が整いながら社会化されていくわけですが、その従事者である保育士や介護職の社会的な評価や認知が追いついていない一つの表れが賃金の低さではないでしょうか。それが女性と労働と直結しています。施設等の介護職員の73.0%が女性であり、訪問介護員の88.6%は女性です(厚生労働省平成30年調査)。医療・介護の担い手不足は深刻で、東京都の推計によると 2025 年には、都内で約 3 万 1,000 人の介護職 員の不足が見込まれています。少子高齢化社会が加速的に進行する中で、高齢者が一人暮らしであっても元気に安心して地域社会の中で生きる共生社会を実現するのは地方公共団体の大きな役目の一つです。それを文字通り支えているのが介護などのケアワーカー。杉並区は、ケアする人をケアするという視点を大切にしながら介護サービス基盤の充実に取り 組みます。
各分野の相談支援機関による重層的支援会議を設置するとともに、地域住民が相互に支え合う仕組みづくりを拡充するなどにより、包括的支援体制を整備します。また、区民に身近な地域で相談や支援にあたる人や機関を、区がしっかり支えていく必要があります。高齢者人口の増加に伴い、地域包括支援センター(ケア24)の業務は質、量ともに増大しています。ケア24の事業運営費を1億1019万に増やしました。概算ではありますが、ケア24の事業運営費の約25%増にあたり多くが人件費に充当されます。
令和9年4月1日から居宅介護支援事業所の管理者となる主任ケアマネジャーの配置が義務化されることを踏まえ、新たに主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)の養成研修受講料を全額(52,600円)助成します。また、主任ケアマネージャー及びケアマネージャーの更新時研修の費用は、受講料の半額を助成することで、介護事業所の運営体制を支援していきます。