2024年度の予算が成立しました!
2024年度の予算が成立しました!
杉並区議会 定例議会でのハイライト
③善福寺川流域の治水、皆が参画できるグリーンインフラをはじめよう
善福寺川は杉並区にある善福寺池を源流として、杉並区内を西から東に流れ、中野区との区境 で神田川に合流します。東京都が進めている「善福寺川上流調節池(仮称)」事業は、地下30-40メートルに約5.8㎞のトンネル式の調節池をつくり、大雨の際、増えた川の水を合計約30万㎥取り込み浸水被害を軽減するものです。区内の3地点(原寺分橋下流、関根文化公園、善福寺川緑地のロケット公園)に立坑や取水・排水の施設を整備することが、昨年8月末に東京都から近隣住民に説明されました。
地域に大きな影響のある大規模な計画が公表されて以来、この計画の周辺に居住する方々を中心に驚きや不安の声が様々な形で区に届き始めました。事業主体は東京都ですが、地域住民とともにあるのは基礎自治体である杉並区です。私たちは区民の声に応えるために、この事業に関する区のホームページをつくり、東京都に追加の説明会を求めました。今年1月20日に区役所で行われた説明会に約180人の方が参加され、「治水事業の必要性を理解するためにはもっと情報が必要」「長年かかるインフラ整備と並行して流域で雨水を地中に浸透させるグリーンインフラの取組を」「巨額を投じる大事業の費用対効果や環境影響評価が必要」など様々な質問や意見が出ました。
この間「杉並の自然を壊さないで!!工事計画の再考を!」求める1.4万筆以上の署名が提出されています。説明会での意見や署名された方に共通することは、多角的な情報を知り、治水と環境を両立させる事業に住民が参画する善福寺川流域の未来を考えたいとする建設的なものです。また、関根文化公園は西荻北地域の数少ない子どもたちの遊び場で、周辺の多くの保育園の子どもたちが遊ぶ場所です。善福寺川緑地のロケット公園は区民に愛されるみどり豊かな憩いの場です。区は基礎自治体として区が住民に寄り添い、大きな合意をつくっていくために、事業の多角的な情報に基づく区民とのコミュニケーションを積極的に行っていきます。善福寺川流域の未来を構想し、流域治水に貢献する住民参画のグリーンインフラの取組を始めるための予算を計上することができました。
グリーンインフラとは、自然環境が持つ機能を社会におけるさまざまな課題解決に活用しようとする考え方で、その一つである「雨庭(あめにわ)」は、都市型水害を減災する取り組みとして注目されています。雨庭は,地上に降った雨水を下水道に直接流すことなく,一時的に貯留し,ゆっくり地中に浸透させる構造を持った緑地のことです。
京都市や世田谷区での先進的な取組に学び、来年度からさっそく雨庭のワークショップなどの取組を考えています。都市の治水について、皆で学び、協力者を募り、多くの人が参加して汗をかき、安全で豊かな善福寺川流域を創っていく。基礎自治体はそのような緩やかな枠組みを創っていく力があるのです。
予算編成方針より
これまで幾度となく溢水による浸水被害を出している善 福寺川流域の対策として、現在、都が進めている「善福寺川上流調節池(仮称)」の整備については、区に寄せられた区民の声を しっかりと都に伝えるとともに、事業の実施に当たっては地域住 民の理解が得られるよう丁寧に説明を尽くし、影響を最小限に留 める等検討することを求め、区としても、計画地内にある関根文 化公園の代替地の確保に努めてまいります。また、都と区が信頼 関係の基に協力して進めていくほか、自然の持つ力を活用したグ リーンインフラ等流域対策も重要だと考えており、雨水の流出抑 制対策の強化など、区民と共に考え、区独自の治水対策等を推進 し、より水害被害の少ない安全なまちづくりを進めてまいりま す。